秋深し。日が短くなって、家の中でのんびりTVを見るなど、ゴロゴロと・・・。この時、気をつけねばならないのが、「頬杖をつく」姿勢です。顎の関節は、タテヨコ斜め、縦横無人に動き、硬いものでもを噛み砕く力を持っていますが、それは自発的に動かす力です。頬杖をつくと、重量物の頭を手&腕を支柱にアゴで支えることになり、外部からの強く余計な力が加わって、顎関節におおいな負担となります。人には好きな向きがありますので、ついつい同じ側の顎関節を圧迫して、関節症、そして「顔がゆがむ」ことにもなります。アタマは重いので、机でもつい頬杖をつきたくなりますが、癖にならないように気をつけましょう。
去年の11月頃から飼いうさぎが、歯の不正咬合を起こして、月に一度「歯」を削るという治療に通いました。全身麻酔される本兎も飼い主の財布も相当にツライ数か月でしたが、この半年なんとか治まっています。理由は飼い主がよくよく勉強して「このウサギ」に合った不正咬合を起こさない食べ物を与えるようになったから。このウサギには、(特にこのウサギは!)水分が少なくよ〜く噛まねばならない野菜類や乾燥ワラ等の、自然界にありそうなエサを与えています。簡単お手軽な市販のコロコロ「ウサギのエサ」じゃダメだったのでした。本兎もお手軽ファーストフード的コロコロやウサギビスケットは、跳ねるほど嬉しい好物ではありますが、ホンのオヤツ程度にしています。人も、口に美味しいファーストフードはオヤツ程度が望ましいです。
歯科には、よく知られた小児科や、口腔外科の他に「心療歯科」という聞きなれない言葉があります。心療内科では、おもにストレスからくる様々な病態の心身症の治療を行いますが、歯科でもこの領域にあてはまる症状があることがわかってきました。例えば、匂わないのに本人だけが気にする口臭、調べても病気ではないのに舌がピリピリ痛む舌痛症、口内が乾燥している気がする口腔乾燥症、それに顎の関節が痛む、ガクガクする顎関節症などです。検査をしても原因となる病気がない、また環境によっては症状が現れないことから、心理的なストレスが原因の心身症のひとつと判ってきました。この場合、患者さんとよく話し合い、これらの症状とストレスの関係を詳しく説明して分かって頂くことが大事です。双方納得した上でこそ、適切な治療の効果があがるという訳です。むつかしい症例では、内科や心療科のある専門的な大学病院の歯科などを紹介していますが、よく話しを聞いて治療に臨むということの大切さは変わりません。
入れ歯ではなく、取り外さない 「差し歯」、「インプラント」などの人工的な歯を使っている方は沢山いらっしゃいます。つい思い違いしそうですが、人工の歯でも、口内はしっかりケアしなくては、歯肉炎・歯周病になって、せっかくの設置した「歯」が抜け落ちて、すっかり失うことになります。手間暇、お金も掛けた人工歯も、やっぱり手入れ次第です。とくにインプラントは自前の骨に埋める歯根から生体ではなく人工物ですので、傷まないと思いがちですが、その歯茎が歯周病などに侵され歯根(人工物だろうと!)を支えきれなくなれば、同じように抜け落ちてしまします。もったいない・・・(ケアの)大切さは、失ってから身に沁みるものですが、なんとか予防しましょう。